プリウスのバッテリー情報・総まとめ!交換時期や費用などを徹底解説
30プリウスのオーナーになって、あっという間に10年が経ちました。気がつくと「補機バッテリー交換」や「ヘッドライトのLEDバルブ交換」くらいは自分でできるようになりました。
自分でメンテナンスができるようになったのは「ネットにあるプリウスの情報」のお陰です。貴重な情報を発信していただいたオーナーさんには感謝しかありません。
今回はそのお礼の気持ちを込めて「プリウスのバッテリーについての総まとめ」をアップすることにしました。今までの経験と知識を、世間のプリウスオーナさんとシェアしたいと思います。
この記事では、プリウス用バッテリーの基礎知識から、交換時期と費用、さらには充電方法やダメな運転などについても解説します。
今後のプリウスライフに、ぜひお役立てください。
プリウス用バッテリー(補機・駆動用)の基礎知識
プリウスはハイブリッド車なので「通常のバッテリー」と「走行用バッテリー」の2種類のバッテリーが使われています。これらは、目的や大きさがそれぞれ違います。
通常(補機)バッテリー
今までの車とほぼ同じ機能の鉛バッテリーで、ヘッドライトやカーナビなどの電装品に使われます。大きさや形は従来のものと同じで、正式には補機バッテリーと呼ばれています。
補機バッテリーは、3代目プリウスはトランクルームの下に、4代目はエンジンルームに設置されています。プリウス予備知識があれば自分で交換することも可能です。
走行用(駆動用)バッテリー
モーター走行時や、エンジンのアシスト(補助)時に使われる走行用のバッテリーです。たくさんの電力が必要なので、一人では持てないくらいの大きさです。正式には駆動用バッテリーと呼ばれています。
3代目4代目ともに、後部座席シートの下あたりに設置されています。個人での交換は、ほぼ不可能です。
以上、プリウスには2種類のバッテリーが使われていることが分かりました。常に「プリウスのバッテリーは補機と駆動用の2種類がある」ということを意識しながら情報収集をするのがおすすめです。すると、バッテリーについての知識が混乱することもありません。
プリウスのバッテリーの種類については、詳しく解説している記事があります。ぜひ参考にしてください。
主な内容は、
- 補機バッテリーの違い
- それぞれの役割の違い
- 価格の違い
です。一般的には馴染みのない「発生したガスを逃がすチューブ」などについても書いています。
さて、ここまではバッテリーの基礎知識をご説明してきましたが、続いて「バッテリーの交換時期と費用」について見ていきましょう。
補機バッテリーの交換時期と費用
通常の車と同様に、プリウスの補機バッテリーにも寿命があります。もちろん、寿命がくる前に交換することもできます。
交換費用は「ディーラー等に交換を依頼する場合」と「自分で交換する場合」とで大きく変わります。
補機バッテリーの寿命は長め
その寿命は従来のバッテリーと比べてやや長めの「平均4~5年」と言われています。ただそれも、運転環境などで大きく変わります。
とはいえ「大体でいいから寿命の目安を教えてくれよ!」と思われるオーナーさんがほとんどだと思います。というご希望に答えて、補機バッテリーの交換時期を私の感覚でザックリ予想します。
プリウスの運転頻度はどれくらいですか?
- 週に4〜5日は乗る
寿命は5〜7年程度。 - 週に2〜3日は乗る
寿命は4〜5年程度。 - 週に1日くらいしか乗らない
寿命は3年程度。 - 月に1日か もっと乗らない
寿命は3年以下。
1回に乗る時間は30分以上が理想です。
乗る回数が多いと寿命が長くなるのは、走行時間も長くなり補機バッテリーが適切に充電されるから。逆に乗る回数が少ないと、充電の周期も不安定になって寿命も短くなると私は考えています。
あくまで私の経験をベースにした予想ですから、参考程度にとどめておいてください。
補機バッテリーの交換費用は高め
補機バッテリーの交換費用は少し高めです。ただ、自分で交換するとかなり安くできます。
- ディーラー等で交換 ⇒ 3〜4万円程度
- 自分で交換 ⇒ 1万5千円程度
費用が高めになる理由は、
- バッテリーそのものが少し高い
ハイブリッド車用の補機バッテリーは、ちょっとだけ仕様が違うものがほとんどです。そのためバッテリーの単価も高くなります。 - 交換費用が高い場合が多い
通常のバッテリーは、エンジンルームにある場合がほとんどです。4代目プリウスもそうです。ただ3代目プリウスのように、エンジンルームではなくトランクルームの下に設置されている車種もあります。
設置されている場所が変われば、交換手順が少し増えたりします。なので、交換費用が高くなる傾向があります。
この2つです。
30プリウスの補機バッテリー交換を検討なさっているなら、ぜひ次の記事を参考にしてください。
メモリーバックアップをしながらの交換手順を、写真をふんだんに使って分かりやすく解説しています。記事のタイトルの通り、自分でやればガツンと安く交換できます。
補機バッテリーの寿命がわかる前兆
一般的に、ハイブリッド車の補機バッテリーは「寿命の見極め方が難しい」とされています。というのも、ドライバーが確認できる寿命の前兆が少ないからです。プリウスも例外ではありません。
今までの車でバッテリーの寿命を感じやすいのは、エンジンをかけるために「セルを回しはじめた瞬間」でした。エンジンが「キュルキュルッ」と元気よく回れば、バッテリーが元気だということが分かります。
でも、プリウスのエンジン始動では補機バッテリーの電力は使いません。走行時にも使う駆動用バッテリーで始動させるからです。つまり、始動時の感覚では補機バッテリーの状態が分からないのです。
そのためプリウスでは、補機バッテリーの電圧が下がった時に「補機バッテリー(始動用)充電不足 取扱書確認ください」というメッセージがメーターのところに表示されるようになっています。
ただですねぇ、この警告メッセージが必ず充電不足を教えてくれるとも限りません。気が付かない間に電圧低下が進んでしまうと、警告がでないまま「エンジンがかからなくなる」ことがあるからです。
毎日のようにプリウスに乗っていれば「充電不足の状態をメッセージ」を確認することができるでしょう。しかし、乗らない期間が1ヶ月以上空いてしまった場合などは、その間に電圧が下がってしまい「警告がでないまま急にエンジンがかからなくなった」といったトラブルも実際に起こっています。
つまり、乗らない期間が長い(1ヶ月くらい放置する)オーナーさんは、なんの前兆もなく動かなくなることもあるので注意が必要です。
また次のような症状では、プリウスの「補機バッテリーの寿命」を判断することはできません。
- ヘッドライトが暗くなる
プリウスがレディ状態の時は、駆動用バッテリーから補機バッテリーへ、必要に応じて電力が供給されます。そのため、補機バッテリーのコンディションにより「ヘッドライトが暗くなったり明るくなったり」することはありません。
- バッテリー液が減っている
プリウスに使われている補機バッテリーは、MF(メンテナンスフリー)バッテリーです。基本的にバッテリー液が減ることはなく補充する必要もありません。もし減ってしまったら別のトラブルを疑った方がよいでしょう。
- 燃費が悪くなる
補機バッテリーへの充電量が多くなれば、燃費の悪化につながることも考えられます。ただし、その差があるとしても誤差レベルと思ってもらって結構です。実際に我が家が補機バッテリーを新品に交換しても、燃費の向上を確認できたことはありません。
ちなみに「キーバッテリー残りわずか」という警告メッセージは補機バッテリーへのものではなく、スマートキーの電池が減っている時のメッセージです。
スマートキーの電池切れ間近なら、早めに交換しておくことをおすすめします。
電池交換は自分でもできます。作業手順は、次の記事を参考にしてください。メーカー別に解説しています。
続いて、駆動用バッテリーの交換時期と費用です。
駆動用バッテリーの交換時期と費用
ハイブリッド車にだけにある駆動用バッテリーにも寿命があります。ただ補機バッテリーとは違って自分で交換することはできません。交換はディラーなどのプロにお願いすることになります。
駆動用バッテリーの寿命は20万キロが目安
結論から先に書くと、
- 走行距離は20万キロが目安
- 生産年からの年数は あまり参考にならない
といえます。
もともとプリウスの駆動用バッテリーは「エンジンやサスペンションなどと同程度の寿命を持つ」ように設計されています。その証拠に、タクシーや社用車で「20万キロ以上走ったプリウス」でも、トラブルも無く元気に活躍している姿をたくさん目にすることができます。
一方、車体の年数からバッテリーの寿命を推測するのは難しいと思います。年数よりも「プリウスがおかれていた環境」の方が、バッテリーの寿命を大きく左右すると考えられるからです。
昔は「車は10年を過ぎるとガタがでてくる」とよく言われました。が、いやいや最近の車は優秀です。我が家の3代目プリウスも「新車登録から10年」で「走行距離は11万キロ超え」の状態ですが、駆動系のトラブルは今まで一切ありません。強いて言えば、ヘッドライトのハロゲン電球が片方切れたくらいです。
駆動用バッテリーの寿命については、次の記事で詳しく解説しています。バッテリー交換の実データも検証していますので、参考になると思います。
駆動用バッテリーの交換費用は17万円から
プリウスに使われている駆動用バッテリーには「ニッケル水素バッテリー」と「リチウムイオンバッテリー」が使い分けられています。
それぞれの交換費用は、
- ニッケル水素バッテリー ⇒ 17万程度(実例あり)
30プリウス(3代目)、40プリウス(α:5人乗り)、50プリウス(4代目)など。実例がたくさんあるので金額のブレはあまりないでしょう。 - リチウムイオンバッテリー ⇒ 40万程度(ネット情報)
40プリウス(α:7人乗り)、50プリウス(4代目)の一部。金額はネットの情報のみで実例は確認できていません。なので多少のブレがあるかもしれません。
といったところです。
今どきの感覚からすると、リチウムイオンの方が最先端という気もします。でも、ニッケル水素も地道に開発が進められていて、価格を低く押さえることができる強みがあります。またニッケル水素は低温時でも性能が安定しているので、4代目プリウスの4W仕様車に(雪国での走行を想定して)採用されているのだそうです。
一方、リチウムイオンの強みは「軽い」「小さい」「性能が良い」というところ。さらに開発が進むと価格もニッケル水素に追いつくくらい安くなるのでしょう。今後に期待ですね。
それから、トヨタの保証についても触れておきます。
保証の対象は、
- 新車登録から5年まで
- 走行距離10万kmまで
この2つです。
両方の条件を満たしていれば無償交換の対象です。トヨタの実績からすれば「10年・20万キロ」くらいの条件でも勝負できそうな気もしますが、堅実な経営を感じさせる設定になっています。
交換費用についても、詳しい記事があります。実データを比較しながらトヨタの保証についてもご案内しています。
バッテリーの充電方法へと続きます。
バッテリーの充電方法
補機バッテリーと駆動用バッテリーは、プリウスを長期間放置すると少しずつ放電してしまいます。そのため、最低でも「2〜3ヶ月に一度は30分程度の運転」をして充電することが必要です。これはトヨタのマニュアルにも注意書きしてあります。
とはいえ、用事もないのに「充電だけのために運転する」のも手間ですよねぇ。ということで、そんな時でも充電できる方法を考えてみましょう。
まず、補機バッテリーを充電する方法は、
- レディ状態のまま放置して充電する
- ガソリンスタンドや自動車整備工場で充電する
- 自分で充電器を使って充電する
だいたい、この3つ。
次に、駆動用バッテリーを充電する方法は、
- レディ状態のまま放置して充電する
この1つだけです。
つまり、乗らずにプリウスのバッテリーを充電する方法は「レディ状態のまま放置する」のがおすすめです。なぜなら、2つのバッテリーを同時に充電できるから。工賃も機材もいりません。必要なのは時間だけです。
具体的な充電操作は、次の通りです。
- レディ(パワーON)状態にする
プリウスは、レディ(パワーON)の状態であれば「必要に応じてバッテリーを充電する」仕組みになっています。
- シフトはパーキングのまま
シフトは必ずパーキング(P)にしておくこと。ニュートラル(N)では駆動用バッテリーが充電されません。まぁ、通常でも「シフトのN」はまず使わないと思いますが念のために。
- 夏場はエアコンをON
夏場はエアコンの使用をおすすめします。というのも、駆動用バッテリーやカーナビなどは温度が上がりすぎると故障の心配がでてくるからです。
後部座席下にある駆動用バッテリーは、室内の空気を「吸気口から吸い込んでバッテリー本体を冷やす仕組み」になっています。
※ 吸込口は、後部座席横(運転席側)にあります。
つまり、室内温度が上がりすぎると冷却機能が上手く働かなくなる可能性があります。また充電時に限らず、ひざ掛けなどで吸込口を塞がないように日常から注意しておきましょう。
HDDナビ等も、熱くなるとファンがガンガン回る機種があります。そんな時でも室内の温度を適度に下げておくと安心です。
もちろんバッテリーの充電だけを考えれば、エアコンは切っておいたほうが効率は良いでしょう。ただ、プリウスの寿命という視点を足すと、温度管理をしながらの充電が良い方法だと思います。
- 30〜60分放置
後は、30〜60分そのまま待つだけ。その間、エンジンが掛かったり止まったりしますが、すべてプリウスにお任せでOKです。時間が経てば、補機バッテリー、駆動用バッテリーともに充電されます。
プリウスの充電とシフトポジションについては、奥深い関係があります。特にシフトBについては、バッテリーの効率的な使い方の参考になるはずです。特にプリウス初心者の方は必見です。
最期に、バッテリーに良くない運転について見ておきましょう。
バッテリーをダメにする運転について
プリウスには、バッテリーの寿命を縮めてしまうかもしれない「ダメな運転」があります。あまり神経質になる必要はありませんが、知っておいても損はありません。
具体的には、次の2つです。
- バッテリーに負荷をかけすぎる運転はダメ
燃費を気にするあまり、バッテリーに負荷をかけすぎる運転はダメなんです。例えば、発進時におけるEV走行モードの多用。EVモードはモーターだけで走行するので、使いすぎはバッテリーに大きな負荷がかかり良くありません。
その他にも、走行時の「極端な放電と充電の繰り返し」は避けた方が良いでしょう。マニアックな運転をやりすぎると、駆動用バッテリーの寿命を縮めてしまいます。
- バッテリーレベルが低いまま放置はダメ
「バッテリーの充電方法」のところでも書きましたが、プリウスを運転しないまま長期間放置すると駆動用バッテリーの電圧が下がってしまいます。
1ヶ月程度なら問題ありませんが、それ以上放置するなら電圧の下がりすぎが心配です。悪影響を少しでも軽減するなら、放置前にバッテリーレベルを下げる(放電する)運転は避けることです。
例えば、燃費を伸ばすために「その日の最期にEVモードで駆動用バッテリーを使い切るような運転」などは避けましょう。長期間放置が予想される時は、バッテリーレベルを上げておいた方が安心です。
プリウスで多く使われているニッケル水素電池は、多く充電した状態での放置が望ましいとされています。ですが、リチウムイオン電池搭載車は逆で「バッテリーレベルを減らして放置する方が良い」ので注意してください。
どちらも、必要以上に気を使うことはありません。極端にバッテリーを使う運転はせずに、乗らない期間をあまり長くしないように心がける程度でOKです。
「バッテリーを大切にする運転」については、次の記事に詳しく書いています。日頃の運転についての注意点などもご案内しているので、ぜひご一読ください。
まとめ
記事の冒頭でも書いた通り、我が家がプリウスと付き合いはじめてから10年以上になります。プリウスの購入前には「ハイブリッド車ってなんだっ?」とか「バッテリーがすぐダメになるんじゃね?」みたな疑問が嵐のように湧いてきたのを覚えています。
その都度、ネットで調べたりディーラーの営業さんに尋ねてみたりと、頭から湯気が出るくらい知識をつめこんだものでした。
あれから10年。プリウスのオーナーになってからの経験も踏まえて、今回はバッテリーについての情報を総まとめしてみました。この記事が、プリウスに興味を持っていらっしゃるドライバーさんの情報収集に、少しでもお役に立てれば嬉しく思います。
最期に、記事の内容を簡単にまとめておきます。
- プリウスはバッテリーが2種類使われている
プリウスには、補機と駆動用の2種類のバッテリーが装備されています。
補機バッテリーは今までと同じ鉛バッテリーで、ヘッドライトなどの電装系やハイブリッドシステムの起動に使われています。
駆動用バッテリーは、モーター走行やエンジンのアシスト時に使われており、減速時には運動エネルギーを電気エネルギーに変えて回収しています。
- 補機バッテリーの交換時期
補機バッテリーの寿命は やや長めで、平均すると4~5年で交換時期が訪れます。ただそれは、プリウスの走行状況でかなり変わります。
- 補機バッテリーの交換費用
ディーラー等で交換するなら「3〜4万円程度」。自分で交換するなら「1万5千円程度」。自分で交換すれば圧倒的に安くなります。
- 補機バッテリーの寿命の前兆
補機バッテリーが充電不足になると、警告メッセージが表示されます。ただプリウスに乗らない期間が長いと、メッセージがでないままエンジンがかからなくなることもあるので注意が必要です。
- 駆動用バッテリーの交換時期
走行距離は20万キロが目安です。一方、生産年からの年数はあまり参考になりません。
- 駆動用バッテリーの交換費用
ニッケル水素バッテリーは「17万程度(実例あり)」、リチウムイオンバッテリーは「40万程度(ネット情報)」かかります。トヨタの保証は、新車登録から5年、および走行距離10万kmまでです。
- バッテリーの充電方法
プリウスのバッテリーを充電するには「レディ状態のまま放置する」のがおすすめです。2つのバッテリーを同時に充電できます。
- バッテリーをダメにする運転について
まず、バッテリーに負荷をかけすぎる運転はダメ。それから、バッテリーレベルが低いまま放置はダメです。ただ、必要以上に神経質になる必要はありません。
以上です。
終わりまでお付き合いいただき、ありがとうございました。あなたのプリウスライフの参考になれば幸いです。