プリウスでバッテリー上がりの救援はダメ?対処できるのはここまで!
「連れの車がバッテリー上がりなんですけど、救援する方法はありませんか?!」
夕日が落ちる時間にあせって電話をしてきたのは、プリウス仲間のS君です。
話を聞くと取引先の方と釣りに行っていたようです。ひとけのない岬には、S君のプリウスと動かなくなった車の2台だけのようです。
「ブースターケーブルも、あるんですけど!」
「プリウスと接続して助けるのはダメですか?」
なんとかしてっ!って気持ちが、その声からひしひしと伝わってきます。
なんとか助けてあげたいけど
こればっかりはねぇ...
対処できることは ...
「対処できることって何ですか?!」
対処という言葉にS君が食いついて来ました。その対処とは、プリウスならではの裏ワザ的な対処方法だったのです。
バッテリー上がりの救援はダメ
S君がやろうとしてたのはジャンプスタート。ブースターケーブルで車同士をつないで、故障した車のエンジンをかける一般的な救援方法です。
プリウスにも通常の車と同じように、12Vの補機バッテリーが付いています。「だったら救援できるんじゃない?」と思われるかもしれません。
でも残念ながら、プリウスで普通の車は救援出来ません!
普通の車同士の場合は、バッテリーが上がった車をジャンプスタートで救援できます。ただ、プリウスではダメなんです。ハイブリッドではない一般的な車両は救援できません。
助けられないけど、助けてもらえる。なんだか自分勝手な理屈ですね。でも、ドライバーの責任ではありません。これには、ハイブリッドシステムの仕組みに理由があります。
救援できない理由
プリウスが普通の車を救援出来ない理由は、プリウス側に大きな負担がかかるからです。
ジャンプスタートの時、故障車は救援車とケーブルをつないだままセルを回しますよね。この時に大きな電流が流れます。この大電流が、プリウスには耐えられないのです。
一般的な車ではセルを回しても大丈夫なように、12Vのバッテリー系はそれに耐えられる作りになっています。
対して、プリウスにはセルモーターがありません。
プリウスがエンジンをかける時には、充電用モーターを利用しています。このモーターは12Vとは別系統である高電圧側(駆動系)にあります。
つまり12V側には、カーナビやヘッドライト、ハイブリッドシステム(コンピュータ)などの小さな電流しか流れません。
こんなことから、プリウスの12Vバッテリー系は一般的な車に比べてひ弱になっています。つまり「セルを回されて大きな電流が流れると壊れる確率が高くなってしまう」のが救援できない理由なんです。
とはいえ「理屈はわかったけど 本当にできることはないの?」と思われているかもしれません。
続けます。
理由は分かった!でも出来ることは?
S君は、ジャンプスタートがプリウスにとって危ないのは理解しています。ただS君にとっては、お世話になっている方です。
やれることはやりたい!
出来ることは本当に無いのか?
こんな気迫を感じて、思わず言葉が出ました。
対処するなら、
- ブースターケーブルを接続
- プリウスをレディ状態にする
- じっと待つ(30分くらい充電)
- ケーブルを外す(超・重要)
- 故障車のエンジンをかけてみる
こう説明しました。
重要なのは、ケーブルを外してから故障車のセルを回すこと!
この対処の意味は、故障車のバッテリーを充電した後に「自力でエンジンをかけさせる」ことです。助ける車のバッテリーを充電するためだけに、ブースターケーブルをつなぐ訳です。
こう対処することで、プリウスにセルモーターを回す時の電流負担をなくすことができます。
ただし、ケーブルでつないでいる時のプリウスはレディ状態にしておいて下さい。そうしないとプリウスのバッテリーが減っても、エンジンがかからず充電してくれませんから。
最終的な問題は、バッテリー上がりの車のエンジンがかかるかどうか? は、やってみないと本当に分かりません。こればかりは、バッテリー上がりのダメージの度合いが運命の分かれ道です。
さらに、続きます。
対処できるのは ここまで!
結果はダメでした。S君が対処出来たのはここまででした。本当に残念ですが、これ以上無理をすると共倒れになりかねません。
この方法で成功した例も聞いていましたが、その時は良い条件がそろっていたのでしょう。
まぁ この方法は、ロードサービスに連絡が取れない時など、もしもの事態の対処法として覚えておいてください。
ただS君は、学んだことを説明したお陰で先方とはうまく行ってるようです。誠意って大切なんですね。
「エンジンがかからない場合の対応」の基礎知識も頭に入れておくと、もしもの時にとても役に立ちます。ロードサービスなみに、サクッと解決できるかもしれません。