プリウスは高速道路で燃費が悪い?ゆったり運転術で燃費改善
プリウスは「高速道路で燃費が悪い」とお聞きになったことがあるでしょうか? 我が家も3代目プリウスですが、悪いといえば悪いです。
とはいえ「燃費が悪い」という一言だけでは、誤解を生んでしまうでしょう。これは、悪くなる理由が分かれば納得していただけるはずです。
それから「高速で燃費を改善させる方法はないのか?」といった疑問もお持ちかもしれません。
今回は、そこのところを「高速での実燃費」「燃費が悪い理由」「燃費の改善」の3つに分けてご説明します。3つ目の「燃費の改善方法」には少しコツがあります。そんなに大したものではありませんが、知っておくと燃費の改善に役立つのでご紹介しておきます。
高速道路でのプリウスの実燃費
まず参考までに燃費の例を載せておきます。我が家の3代目プリウスのものです。
- 制限速度100km区間
90km〜100kmで走ると 約リッター20km - 制限速度80km区間
70km〜80kmで走ると 約リッター25km
いつもこうとは限りませんが、ザックリこんなものだとお考えください。もちろん雨が降っていたり、ブレーキを踏む回数が多かったりすれば、2割くらい悪くなることもあります。ちなみにこれ以下の速度では、走行環境による燃費のブレが激しいのでなんとも言えません。が、良い時は良いです。
このメーター表示は、私が実家に帰った時のものです。
枠の中の数字の意味は、左から、
- 走行距離 55.8km
- 燃費 31.1km
- 平均速度 42km
です。
その時の走行環境は、前半が都市高速(80km)、後半が峠越えとの山道(60km)と信号が少ない市街地(40km)です。後半の道は、燃費にとってはかなり良い状況です。
肝心の燃費の推移については、前半の高速でリッター25km程度、後半の一般道でかなり伸びてリッター30kmを超えました。環境が良い一般道に比べると高速の燃費は悪いとも言えます。
ではなぜ、プリウスは高速道路だと燃費が伸びないのでしょうか? 引き続き見ていきましょう。
プリウスが高速で燃費が悪い理由
プリウスが高速で燃費が悪い理由は、
- バッテリーが重たいから
ハイブリッド車は駆動用のバッテリーが重いので、どうしても車が重くなります。重いと当然燃費が悪くなります。下の写真ではバッテリーの側面しか見えていませんが、オイルヒーターくらいの大きさがあります。
- 高速ではエンジンが止まらないから
ハイブリッド車は状況に応じてエンジンを止めます。ただ高速走行ではパワーが必要なため、エンジンを止めることができません。ガソリンの節約にならないのです。
- モーターのアシストが少なくなるから
ハイブリッド車は、エンジンとモーターの2つの動力があります。その2つがうまく働いて燃費が向上します。ただ高速道路では、ほぼエンジンだけで走るのでモーターのアシスト(補助)の効果が期待できません。
こんなことが、よく言われています。
でも、これだけの理由で、プリウスの燃費はそんなに悪くなるのでしょうか。私は「ちょっと違うかな」と思います。
というのも、燃費悪化の最大の理由は「速度の出しすぎ」ではないか? と考えられるからです。
速度の出しすぎから燃費が受ける影響は、
- 空気抵抗が大きくなる
- エンジンの効率が悪くなる
この2つです。
まず、空気抵抗について。
空気抵抗は、速度を上げるほど大きくなります。物理に詳しい方の解説では「空気抵抗は速度の2乗に比例する」とのことです。言い換えれば、走る速度が速ければ速いほど抵抗がガッツリ大きくなって、燃費もガンガン悪くなるといえます。
プリウスが斬新的なデザインなのも、空気抵抗をできるだけ減らすように考えられているからです。ただ、いくら工夫を重ねても抵抗をゼロにすることはできません。
それから、エンジン効率。
プリウスは初代から4代目まで「アトキンソンサイクル」という形式のエンジンを採用しています。
「なんだっ! そのアトなんとかってやつは?」と思ったあなた。心配いりません。詳しい友人に、ああだこうだと教えてもらって、やっと理解できた私が簡単にご説明します(笑)。
ざっくり言うと、プリウスのエンジンは「高速域では効率が良くない」ということです(簡単すぎ)。これが、プリウスが高速道路で燃費が悪い理由です。
アトキンソンサイクルは、エンジン効率を最大限良くするために考えられたエンジンです。ただ残念なことに、すべての速度域で効率を良くすることはできません。高回転は苦手なんです。
もちろん悪いと言っても、そんなには悪くありません。プリウスは低速から中速域の燃費が特に良いので、それと比べればということです。悪いというよりも「良くはない」といった表現の方が正しいのかもしれません。
では引き続き、高速道路での燃費を良くする方法について見ていきましょう。
「ゆったり運転術」で燃費は改善できる
今までご説明してきた通り、プリウスの低燃費はハイブリッドシステムだけで叩き出している訳ではないんですね。基本となるエンジンの効率も徹底的に練り上げられているのです。
エンジン効率の悪い高速域を避けて、効率の良い低速から中速域で走ることによって燃費は良くなります。つまり「ゆったりとした運転」がおすすめなのです。
現実的には空気抵抗が少なく、かつ流れに乗れる速さの「時速80km程度」が燃費が良くなる速度でしょう。
一度、安全運転をしているトラックなどの後ろについて走ってみるのも良いかもしれません。
ただし、もう一つ。私と同じプリウスオーナーの方には、このことをお伝えしたいと思います。
時速78kmは天使と悪魔の別れ道
高速道路をプリウスで走る時には「時速78kmが天使と悪魔の別れ道」になります。これでは分からないですよね。ご説明します。
プリウスは、78kmを超えるとエンジンは止まりません。逆に、78km以下だと状況に応じてエンジンは止まります。
なにが言いたいのかというと、エンジンの無駄な停止と始動を避けることによって燃費は更に向上するということです。
具体的な例をあげます。
ゆるやかな下り坂の高速道路。制限速度は80kmです。あなたは75kmで走行中。この時プリウスのエンジンは止まっています。
この状況が続けば、燃費にとっては天使的な状態です。エンジンは停止中なので、ガソリンを消費しませんからね。
ただし、ここでアクセルを少し踏み込んで加速したとしましょう。車速は増して80kmを超えました。
すると、プリウスのエンジンは掛かってしまいます。なぜなら78km以上になると、プリウスは状況にかかわらずエンジンを掛けてしまうからです。
さらに78km前後で走っていると、エンジンの始動と停止を繰り返すことがあります。始動のたびにバッテリーの電力を使うわけですね。無駄な動きです。
つまり、パワーが必要ない時にガソリンやバッテリーを消費するのは、燃費にとって悪魔的な状況なのです。
つまり、そんな状況下では速度を上げずに75km程度で走り続けるのが得策です。
ちょっと極端な表現をしてしまいましたが、エンジンを「意識的に掛けたり掛けなかったり」ができるようになると、プリウスの燃費はコントロールしやすくなります。
頭の片隅にでも入れておけば、燃費の改善に役立つはずです。
さいごに
最後におさらいをしておきます。
高速で燃費が悪い理由は、
- バッテリーが重たいから
- 高速ではエンジンが止まらないから
- モーターのアシストが少なくなるから
あわせて、
- 燃費悪化の最大の理由は 速度の出しすぎ
さらに、
- ゆったり運転術で燃費は改善できる
- 時速78kmは天使と悪魔の別れ道
以上です。
さて、今まで高速の燃費について見てきましたが、高速以外でも燃費向上に関する記事があります。ざっとご紹介しておきます。プリウスの燃費についてのエッセンスがギッシリ詰まっています。ぜひ参考にしてください。