レギュラーとハイオクの違い!アニメの動きでサクッとわかる
レギュラーとハイオクの違いといっても、簡単なものから難解なものまでさまざまです。難しいものだと説明文を読んでも、専門用語が多くてピンと来なかったりします。でもご安心ください。こんなアニメーションを使って、とにかく分かりやすくご説明します。
動きをヒントにすると、サクッと理解できるはずです。あわせて、レギュラーとハイオクを間違えて給油した場合の対処方法についても、運転歴30年の経験を踏まえてご案内します。
レギュラーとハイオクの違い一覧表
レギュラーとハイオクの違いを把握するために「違いの一覧表」を用意しました。
レギュラー | ハイオク |
|
---|---|---|
オクタン価 | 89以上 | 96以上 |
添加剤 | なし | あり |
値段 | 100円台前半が多い(時価) | レギュラーより10円程度高い |
燃費の違い | 状況による | |
給油ノズルの色 | 赤色 | 黄色 |
ガソリンの色 | ともに薄い赤系 | |
におい | ガソリン臭 排気ガス臭とも ほぼ同じ | |
主な車種 | 一般車 軽自動車 エコカー | スポーツカー 高級車 輸入車 |
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こう見ると、いろいろな違いがありますね。順に見ていきましょう。
※ 一覧表の青色リンクをタップして「読みたいところにジャンプ」するも良し、上から順に読み進めるも良し。気になるところだけでも飛ばし読みすれば、理解が深まります。
オクタン価の違い
レギュラーとハイオクの違いのひとつが、「燃えやすいか燃えにくいか」の違いです。レギュラーは燃えやすく、ハイオクは燃えにくく作られています。
- レギュラー ⇒ 燃えやすい
- ハイオク ⇒ 燃えにくい
これが、レギュラーとハイオクの最も大きな違いです。
そして、燃えやすさを「オクタン価」という数値で表します。
- レギュラー ⇒ 90オクタン
- ハイオク ⇒ 100オクタン
オクタン価が大きいほど、燃えにくくなっていきます。
厳密にはJISという工業規格で「レギュラーは89以上」、「ハイオクは96以上」と決められています。が、まぁ 90と100と覚えておいても問題ないでしょう。ちなみに最大は100です。
ガソリンの中には「イソオクタン」という成分が入っています。その割合を表す数値がオクタン価です。ここから、ハイオクという名前が生まれています。
ハイオクと呼ばれる理由は、
- イソオクタンが多く入っている
- オクタン価が高い
- オクタン価がハイ(高い)
- ハイオクタン
- ハイオク
ザックリこうです。面白いでしょ(笑)。
レギュラーは燃えやすく、ハイオクは燃えにくい。それは分かったけど、「ガソリンは燃えやすい方が いいんじゃね?」と思われたあなた。逆なんです。
ここが分かれば「レギュラーとハイオクの違い」の9割を制覇したといっても過言ではありません。集中していきましょう!引き続きご説明します。
レギュラーは異常燃焼に弱い
エンジンが力を出すには、ガソリンは燃えにくい方が都合が良いのです。というのも、エンジンは「ガソリンに火を付けるタイミンが重要」で、これがずれると力がでないんですね。この、タイミンがずれる原因が「異常燃焼」です。
ではレギュラーガソリンが、どんな風に異常な燃焼を起こしてしまうのか? 早速アニメーションで見てみましょう。
エンジン内部のシリンダーに、レギュラーが吸入されてから爆発するまでの過程です。
- 吸入
最初は圧力がかかっていないので、温度は低い状態です。なので青色で表現しています。 - 圧縮
だんだん圧力がかかり温度が上がって行きます。少し温度が上がるので黄色になります。 - 異常燃焼
さらに圧縮されて温度は極限状態。ここまでくると赤色です。レギュラーは我慢できずに「カリッ」と小さな爆発を起こしてしまいます。 - 点火
爆発させるために点火プラグが火花を飛ばして、爆発のキッカケを作ります。 - 爆発
本来の爆発が始まります。ただ点火する前から小爆発が起こっているので、膨張エネルギーの回収がロスしてしまいます。
これが異常燃焼の正体です。これが起きると、ノッキングと言われる良くない現象が起きてしまいます。
アクセルを踏み込むと「カリカリッ」とか「カラカラッ」とか、エンジンから出る音を聞いたことがありませんか? その時が、まさにノッキングが起きている時です。
ちなみに点火プラグとは、こんなものです。
先っぽに針のようなものが見えますが、そこに高電圧をかけて火花を飛ばします。
キッチンのガス台で火を付ける時に「パチッ」とか「パチパチパチ」とか音がして、針の先から火花が飛びますよね。あれと同じ原理です。
ガソリンは、温度と圧力が上がりすぎると自然に発火します。本来ならレギュラーは、点火プラグが作る火花を待って爆発しなければいけません。
でも「もーダメ!」という状態になって、点火を待ちきれずに小爆発を起こしてしまいます。赤いレギュラーは、待ちきれなくて異常燃焼を起こしてしまうのです。
さて、次はハイオクです。
ハイオクは異常燃焼に強い
では、異常燃焼に強いハイオクガソリンはレギュラーとどう違うのか? ハイオクが、エンジンのシリンダーに吸入されてから爆発するまでの過程を見てみましょう。
- 吸入
レギュラーの時と同じように、最初は温度が低い状態です。青色です。 - 圧縮
しだいに圧力がかかり温度が上がって行きます。黄色の段階です。 - がまん
ここで温度は極限状態。しかしレギュラーと違って異常燃焼は起きません。「カリッ」という異常燃焼の音もしません。 - 点火
温度と圧力が高くなった最高のタイミングで、点火プラグが火花を飛ばして爆発のキッカケを作ります。 - 爆発
正常な爆発です。点火前に異常燃焼が起こっていないので、膨張エネルギーの回収にロスがありません。
点火を待ちきれずに小爆発を起こしてしまうレギュラーとちがって、ハイオクは異常燃焼を起こすことなく正常な燃焼が行える能力を持っているのです。
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添加剤の違い
ハイオクには、清浄剤という添加物が入っています。エンジンの内部をきれいな状態に保つためです。対して、レギュラーガソリンには清浄剤は入っていません。
- レギュラーガソリン ⇒ 清浄剤あり
- ハイオクガソリン ⇒ 清浄剤なし
では、レギュラーだけを使い続けるとエンジンが汚くなるのかというと、そうでもありません。これは、エンジンの調子や乗り方などに左右されます。それでも、ハイオクを使うと汚れにくいのは事実でしょう。
そんな心理がはたらくからか、たまに耳にするのが「レギュラー仕様車なのに時々ハイオクを入れる」という話。清浄剤の効果を期待してのことです。
ただ私が同じ効果を求めるなら、ハイオクは入れずに専用の添加剤を買って入れます。たしか自動車評論家の国沢さんも、同じ意味合いの記事を書かれていました。リッターあたり10円高い料金を払うなら、そのお金で添加剤を入れるほうが効果的と考えられるからです。
プロにも評判が良いワコーズなら、こんな添加剤もあります。
ちなみに、レギュラーガソリンはどのメーカーのものでも成分はほぼ同じです。これもオクタン価と同じく、JIS(日本工業規格)で決められています。
ただハイオクは、メーカーによって成分が違います。先程からご説明している添加剤の配合等が同じではないからです。そんなきまりなんですね。
↑ 違いの一覧表 |
値段の違い
レギュラーガソリンの販売価格は、1リッターあたり100円〜150円の100円台前半。そして、ハイオクはレギュラーより約10円高いのが普通です。
時期や場所によって変動はありますが、ほぼこんなものです。理由は、オクタン価の違いや添加剤のありなしの違いです。詳しくは、それぞれの章(オクタン価と添加剤)で解説しています。
ここで、ちょっと注意喚起を。安すぎるガソリンには注意が必要です。というのも、ガソリンに単価の安い灯油を混ぜて販売している事例があるからです。
「灯油なんか混ぜて大丈夫なの?」と思われるかもしれません。これが少しなら大丈夫なんです。というか、今の車は良くできているので、街なかをゆっくり走る分には問題なく走れます。
ただ「高速でアクセル全開!」みたいな走りをすると、ノッキングを起こしたりパワーが落ちたりするはずです。そんな機会は少ないので、分からないまま運転し続けるドライバーさんがほとんどでしょう。
もちろん、企業努力で価格を抑えているスタンドさんがほとんどです。ただ、たまに灯油が混ったガソリンを売って、ニュースに取り上げられるスタンドがあるのも事実です。
私も実際にそんなスタンドを知っています。その時は「故意ではなく作業ミスによるものでした」といった内容の、お詫びの紙が貼ってありました。利用したことがあるスタンドなので愛着もあります。利益目的ではなくミスだと信じたいものです。
安かろう悪かろうではありませんが「ガソリンの安値に執着しすぎるのも考えもの」だと感じる今日このごろです。
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燃費の違い
ガソリンエンジンには、レギュラー仕様とハイオク仕様の2種類のエンジンがあります。レギュラー仕様はレギュラー用に作られたエンジン、ハイオク仕様はハイオク用に作られたエンジンです。
普通乗用車のほとんどはレギュラー仕様です。ちなみに我が家の愛車はプリウスですが、やはりレギュラー仕様です。
もちろん、レギュラー仕様にはレギュラーガソリンを、ハイオク仕様にはハイオクガソリンを入れます。ハイオクのほうが「単価が高いので燃費も良い」と勘違いしそうですが、そうではありません。レギュラー仕様にハイオクを入れても、基本的には燃費が良くなることはありません。
逆に注意したいのは、ハイオク仕様にレギュラーを入れたら燃費は悪くなるはずです。これは走り方によって若干変わります。どうしてもガソリン代を節約したければ、せめてレギュラーとハイオクを半分ずづ入れるのが賢い選択でしょう。街乗りするくらいなら燃費はそんなに悪くならないそうです。
理由は「ゆったり走る」という条件を満たせば、燃費が悪くなる原因のノッキングがまず起こらないから。レギュラーとハイオク半々に混ぜた、95オクタンのなせる技です(オクタン価説明の章はこちら)。もちろん自己責任です。
ガソリンとエンジンの組み合わせについては、私の経験によると例外もあります。燃費についての詳しい記事があります。ハイオクで燃費があがった事例を考察しています。
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「給油ノズルの色」の違い
ガソリンスタンドの給油ノズルは、油種によって色分けされています。
- レギュラー ⇒ 赤色
- ハイオク ⇒ 黄色
- 軽油 ⇒ 緑色
- 灯油 ⇒ 青色
一般的に、この配色は変わりません。
最近はセルフのガソリンスタンドが増えていますが、信号機並みに色分けしてあるので、よほどのことがない限り間違えることはないでしょう。
ただ少ないとはいえ、ヒューマンエラーはどうしても避けられません。運転で疲れているときには、深呼吸でもして落ち着いて給油したいものです。
お客さん側ではなく、ガソリンスタンド側が作業を間違えることもあるそうです。レギュラーガソリンをハイオクのタンクに入れてしまったり、ハイオクをレギュラーのタンクに入れてしまったり。あるんですね、そんなことが。
ちなみに海外では、赤(レギュラー)や黄(ハイオク)だけではなく、4種類も5種類ものガソリンが販売されているところもあるとのこと。
※写真はイメージです。
それぞれオクタン価が違うそうです。もちろんノズルの色も変わります。そんなに多いと間違えそうですね(笑)。
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「ガソリンの色」の違い
ガソリンには、うすい赤系の色がついています。レギュラーにもハイオクにもです。ただ、レギュラーとハイオクで、明確に色分けされている訳ではありません。どんな色かというと、ピンクグレープフルーツの色を薄くしたような色だそうです。
私は確認したことはありませんが、オレンジっぽい色にみえる時もあるそうな。とにかく赤系の色ですね。この色には意味があって、ひと目で「危ない液体ですよ!」と分かるように赤系の色が採用されています。ガソリンは揮発性が高く火が付きやすいので、取り扱いに注意してねということです。
ちなみに、身近な油種の色を見ると、
- ガソリン ⇒ 赤系
- 軽油 ⇒ うすい黄色
- 灯油 ⇒ ほぼ無色
こうなります。
ガソリンや軽油の色を見ることは少ないかもしれませんが、灯油は白いポリタンクで購入している方も多いはず。薄い色が付いているものもあるそうなので、観察してみると面白い発見があるかもしれません。
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においの違い
「レギュラーガソリン」と「ハイオクガソリン」のにおいは、ほぼ同じです。嗅ぎ分けられる方は、プロではない限りいらっしゃらないはずです。
では「排気ガスのにおい」だったらどうか? これがいらっしゃるんですね、分かる方が。正確には「昔は分かる方がいた」と書くのが正しいでしょう。
というのも、昔のハイオクは有鉛だったからです。つまり鉛の成分が入っているかいないかで、排ガスのにおいが違ったのです。今は、ハイオクでも無鉛ガソリンばかりなので違いはほぼありません。
また街を走っていると、バイクからでる排ガスの独特なにおいが気になることがありませんか。あればガソリンが燃えたにおいというよりも、エンジンオイルが燃えたにおいです。
バイクは2ストロークエンジンが多いので、オイルがよく燃えてしまうのが原因です。オイルのなかには、燃えると甘い香りがするものもあります。
「俺のバイクは甘く危険な香りがするぜ!」とかいう自慢は、まんざら嘘ではないということになります(笑)。
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主な車種の違い
レギュラーガソリンは、一般的な乗用車や軽自動車、エコカーなどに多く使われます。対してハイオクタンガソリンは、スポーツカーや高級車、輸入車などに使われます。
- レギュラー ⇒ 乗用車 軽自動車 エコカー
- ハイオクン ⇒ スポーツカー 高級車 輸入車
一般的に「燃費や車両価格を抑えたい」のか「パワーを優先したい」のかで、エンジンの仕様が決まります。その仕様にあわせてガソリンも決まります。レギュラー仕様ならレギュラーガソリン、ハイオク仕様ならハイオクタンガソリンですね。
本来エンジンは、ガソリンから大きな力を作り出すため限界まで圧縮してから点火します。圧縮率を高くすればするだけ、爆発力が大きくなって強いパワーを生み出せますから。
ただし圧縮率が限界を超えると、ノッキング(異常燃焼)が起きてパワーにロスが生まれます。そこで異常燃焼が起きにくいハイオクだと、ギリギリまで圧縮率を高められる訳です。
なのでスポーツカーや高級車に使われている高出力エンジンでは、ハイオクが指定ガソリンになっています。ただ、エンジンのパワーが上がるとともに車両価格も上がります。
その証拠に、軽自動車ではハイオク仕様の車両はありません。理由は先にご説明した通り、パワーよりも車両価格や燃費が優先するからです。
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間違って給油したら
レギュラーとハイオクを間違って給油しても、すぐにエンジンが壊れることはありません。
まず、レギュラー仕様車にハイオクを入れた場合。
レギュラー仕様のエンジンでも、ハイオクで問題なく走れます。ただ、パワーアップとかは期待できません。ハイオクならではの添加剤の効果は期待できますが、価格差ほどのメリットはないでしょう。(詳しくはオクタン価の章を参照。)
次に、ハイオク仕様車にレギュラーを入れた場合。
これも、ほぼ問題なく走れます。ほとんどのハイオク仕様車は、レギュラーしか給油できない状況を想定して、レギュラーでも走れるようにできています。特に最近の車はセンサーなどが働くので、違いが分からないかもしれません。
ただし、長期間レギュラーを使用し続けた場合は問題でしょう。というのも、添加剤のありなしでエンジンの調子が悪くなることも考えられるからです。(詳しくは添加剤の章を参照。)
※ 例外もあります。例えば、日産のGTRにレギュラーガソリンを入れたらどうなるのか?
これは良くないですね。なぜなら、GTRはハイオクを前提として高度にチューニングされているからです。こんなハイオク指定車は、ハイオクだからこそ、その魅力を発揮できる訳です。
さいごに
レギュラーとハイオクの違いを、つらつらと書いてきました。この記事をきっかけに、少しでもあなたが運転する車に愛着を持っていただけたら嬉しく思います。
では、最後に違いのおさらいです。
レギュラー | ハイオク | |
---|---|---|
オクタン価 | 89以上 | 96以上 |
添加剤 | なし | あり |
値段 | 100円台前半が多い(時価) | レギュラーより10円程度高い |
燃費の違い | 状況による | |
給油ノズルの色 | 赤色 | 黄色 |
ガソリンの色 | ともに薄い赤系 | |
におい | ガソリン臭 排気ガス臭とも ほぼ同じ | |
主な車種 | 一般車 軽自動車 エコカー | スポーツカー 高級車 輸入車 |
↑ リンクをタップすると詳細説明に移動します。 |
それから、レギュラーとハイオクを間違って給油しても、すぐにエンジンが壊れることはありません。ただ長期間入れ間違うと、調子が悪くなることも考えられます。
以上です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
記事中でもご案内しましたが、他にもガソリンに関する記事があります。レギュラーガソリンとハイオクガソリンを、入れ変えてみたらどうなるのか? 燃費の比較をやってみた具体例も書いています。
興味深いデータもありますので、ぜひ見ていって下さい。