ヘッドライトにピカール!その黄ばみ取りの基礎知識
ヘッドライトの黄ばみを、ピカールで取る。今となっては定番ですよね。なんと言ってもお手軽ですから。ただ、今からピカールでライトを磨くなら、あらかじめ基礎知識に触れておくことをおすすめします。事前に頭に入れておけば、失敗が少なくなるはずです。
実は私も、いくつものライトを磨いてきました。年代の古い車は、黄ばみがひどかったものです。せっせ、せっせと、磨いていくうちに、いろいろな疑問を感じたものです。そしてその都度、解決してきました。そして分かったことは、「ピカールについての知識」の大切さ。知っておいても損はありません。
今回は、ピカールを使った黄ばみ取りの基礎知識です。施工前から施工後まで、順を追ってご説明します。
ヘッドライトにピカールは使えるのか?
そもそも金属磨きであるピカールを、ヘッドライトの黄ばみ取りに使っても大丈夫なのでしょうか? 今時のヘッドライトは、ほぼプラスチックで出来ていますからね。答えは、大丈夫です。ピカールはプラスチックでも使えます。
ピカールは、商品名では「ピカール金属磨き」となっていますが、プラスチックに使用しても問題ありません(自己責任ですが)。
実際に、ボトルに表示されている説明でも「使用に適するもの」としてプラスチックも表記されています。
ピカールは、主に金属磨きに使われています。しかし「DIYでのヘッドライト磨き」にもよく使われます。なぜなら、ピカールで磨くと黄ばみが取れることが知られているからです。ただ、ピカールで磨いてもライトの黄ばみが必ず取れるとは限りません。取れるかどうかは、次の章の「ピカールの黄ばみ取り効果は?」を読むと判断しやすくなります。
ピカールの黄ばみ取り効果は?
まず、「プロの黄ばみ取り」と「ピカールの黄ばみ取り」を比較して、効果の違いを見てみましょう。
プロのショップにヘッドライト磨きを頼むと、だいたい次のような工程で作業します。作業の目的は、黄ばみの除去と磨き、そして表面の保護です。プロはピカールを使いません。
- 耐水ペーパーでの研磨
- 液体コンパウンドでの磨き
- コーティング剤での保護
ピカールで磨く効果は、2つ目の「液体コンパウンドでの磨き」と同じ効果があります。逆に言えば「工程全体の中の 1つの作業」でしかありません。
次に「プロ磨きの例」と「ピカール磨き」を、研磨の番手に注目して比較してみましょう。プロの場合は、粗めから細めへと少しずつ細かい番手に変えていきます。
プロの磨き | ピカール磨き | |
---|---|---|
1.研磨作業(耐水ペーパー) | 1000番 1500番 2000番 | なし |
2.磨き作業(コンパウンド) | 3000番 7500番 9800番 | 約4000番 |
番手という視点で考えても、ピカール磨きは「工程全体の中の 1つの作業」だということが分かります。
ペーパーやコンパウンドは、状況により変える必要があります。番手(粗さ)については、こちらの記事に詳しく書いています。
以上のことから、ピカールは手軽だけど「黄ばみの取れ具合は限られる」と言えます。耐水ペーパーで研磨しないと、ひどい黄ばみは取れません。ただ、軽い黄ばみは取れます。つまり「ピカールでのライト磨き」は、黄ばみやくもりが軽い場合に効果があると言えます。
さらに磨きの仕上がりを考えると、極細のコンパウンドまでの作業がおすすめです。
DIYでも「ペーパーやコンパウンドを使った黄ばみ取り」が可能です。詳しい記事はこちら。
ピカールで黄ばみはどれくらい取れる?
ピカールは「ひどい黄ばみ」には効果が少ないとしても、どれくらいの黄ばみだったら綺麗になるのか? なにはともあれ、効果が分かる動画を見てみましょう。
結果としては、先程書いた通りに「軽い黄ばみ」なら綺麗になります。磨き前の「薄い黄ばみ」の状態と比べて、磨いた後はライトがスッキリと輝いています。
さて、ヘッドライト磨きの工程です。
- 作業前にマスキングする
磨き作業をする時の、ボディの保護には「マスキングテープ」の使用が理想的です。おすすめは3M製のスコッチ。接着力もあり、はがしても糊が残らないので最近のお気に入りです。アマゾンでも売っています。
- 磨く前に ライトの汚れを取る
ピカールの研磨粒子は、目にも見えない3マイクロメートル。これより大きな汚れが残っていると、思いのほかに深い傷が付いてしまいます。ピカール磨きで「失敗する原因」は、こんな基本的なところにも隠れています。 - 根気よく黄ばみを取る
どれくらいの時間を掛けるのかは、ケースバイケースです。目安としては、白いウエスに黄色い汚れが付かなくなるくらいまで。ピカールは安価です。でも量はたっぷり。これが1本あれば、車に限らず長く便利に使えます。
ライト磨きでピカールを使う良さは、なんと言っても手軽なこと。ただ、ピカールだけでライト磨きを終わってしまったら、心配なこともあります。
ここまで読んでいただいたら、薄々お気づきだとは思います(笑)。そうです、引き続き「コーティング」について見ていきましょう。
ピカール後の コーティングは必要?
ピカールでライトの黄ばみを取った後、実際にコーティングは必要でしょうか? 答えは、良い状態を長く持たせたいのなら必要です。理由は、その後の劣化を遅らせるため。
新車のヘッドライト表面には、黄ばみや曇りを防ぐためのコーティングが施してあります。これは紫外線や傷に弱いプラスチック(ポリカーボネイト)の劣化を防ぐのが目的です。
新車から長い年数が経過すると、コーティング済みでもライトは黄ばみます。その原因は次のようなものです。
- 紫外線による劣化
- 傷による劣化
- 熱による劣化
「黄ばみの原因」についての、詳しい記事はこちら。
ピカールで磨くということは、黄ばんだ「コーティング」と「ライトの表面」を削り取っている訳です。つまりポリカーボネイトがむき出しの状態になりますから、そのままでは劣化が早く進んでしまいます。この劣化を、少しでも遅らせるための手段がコーティングです。
ピカールで黄ばみが取れていれば、コーティング作業はそんなに大変ではありません。ちなみにアマゾンでよく売れている「ヘッドライトコートNEO」を使うと、次のような簡単な手順で済みます。
- マスキング(ピカール後は不要)
- 研磨(ピカール後は不要)
- 洗浄(ピカール後は不要)
- 混合液の塗布
- 重ね塗り
- 乾燥
もちろんコーティングしても、いつまでも効果が続くことはありません。ただ、また黄ばみ始めるまでの期間は長くなります。商品や環境にもよりますが、コーティングしてから黄ばみ始めるのは「半年から1年」。コーティングしないと「1ヶ月から3ヶ月」で劣化してしまいます。
少しでもヘッドライトの輝きを長く持たせたいなら、プロ志向のコーティング剤もあります。
先程の「ヘッドライトコートNEO」など、業務用を含めてコーティング剤を4つ紹介しています。
まとめ
ピカールを使った「ヘッドライトの黄ばみ取り」の、おさらいとまとめをしておきます。施工前から施工後までの、基礎知識のポイントです。
- ヘッドライトにピカールは使えるのか?
ヘッドライトにピカールを使用しても大丈夫。ただし自己責任でお願いします。 - ピカールの黄ばみ取り効果は?
ピカールの黄ばみ取り効果は「液体コンパウンド(4000番)とほぼ同じ」です。 - ピカールで黄ばみはどれくらい取れる?
「黄ばみのひどいライト」は綺麗になりません。「軽い黄ばみ」なら綺麗になります。根気よく磨けば、それなりに取れます。 - ピカール後のコーティングは必要?
劣化を少しでも遅らせる手段がコーティングです。これをやらないと、1ヶ月から3ヶ月で黄ばみが始まります(商品や環境に左右されます)。
古くなれば、ヘッドライトだって黄ばみます。綺麗にするには、手間も掛かります。でもメンテナンスで試行錯誤していると、なんだか楽しくなってきますから不思議ですよね。愛車の手入れをしながら、私はいつもそう感じています(笑)。ぜひ、あなたに合った黄ばみの取り方を見つけてください。